幸せまでの距離
最寄駅で電車を降りると、ミズキ は大学、メイは専門学校に向かう はずだった。
しかし、ミズキはなぜかメイの進 行方向についてくる。
「大学、こっちじゃないで しょ?」
メイが戸惑いがちにそう言うとミ ズキは、
「今から行っても、まだ1限目の 途中だから変わらないよ」
と、メイの専門学校までついてい くと言った。
「それは言い訳で、ほんとはメイ と歩きたいだけ」
ミズキははにかむ。
専門学校に向かう途中、二人は何 かを話すわけでもなく、会話が盛 り上がるようなこともなかった が、一緒にいるだけで互いに心地 よかった。
「じゃあ、帰りも迎えに来るね。
今日も、あと半日と少し、がんば ろうね!」
専門学校に着くとミズキはメイに そう言い、自分の大学に向かっ た。
見慣れた景色の中で遠ざかるミズ キの後ろ姿を見て、メイは自分の 行いがどれだけミズキに不安を与 えたのかを思い知らされた。
あんなに想ってくれる家族がいる こと。
血はつながってなくても、これか らは出来るだけ家族に迷惑をかけ ないよう、大切にしたいと思っ た。
行方をくらませ、周りに迷惑をか けておいてこう考えるのは不謹慎 だと分かっていたが、ミズキが学 校までついてきてくれたことが、 メイは嬉しかった。