幸せまでの距離
校門をくぐり校舎内に入ると、授 業中のせいか廊下は静まり返って いた。
まだ食べていない朝食を摂りがて ら、次の授業が始まるまで時間を つぶそうか……。
学食に向かうべくメイが階段を上 がると、その先にある小さな休憩 スペースで、タバコを吸っている カナデの姿を見つけた。
生徒はほとんど未成年なため、校 内では原則禁煙である。
講師に見つかったと思ったのか、 メイの足音に気付いたカナデはあ わてて携帯灰皿を取り出しタバコ を消したが、
「なんだ。メイちゃんか」
人影の正体がメイだと分かると、 新しいタバコを取り出し火をつけ た。
カナデの吸い方は落ち着きがな く、何かをごまかしているのだと 見て取れる。
メイは彼女の横に座ると、
「一本ちょうだい」
と、手を差し出した。
カナデは昨夜の気まずさをごまか すべく、
「メイちゃんもタバコ吸うんだね ~。
はい」
と、学校内限定のいい子キャラを 演じた。
星崎家に来てからタバコは一切 吸っていなかったメイも、遠慮せ ずカナデのタバコを受け取ると、 火をつけるよう仕草で促した。