幸せまでの距離
カナデは一瞬にして青ざめた。
「ごまかしてごめん……!
お願い! 店のことだけは言わな いで!
誰にも知られたくない……!」
横にいるカナデと目を合わせず、 メイは正面を向いてタバコを吸い 続けた。
そんなメイの態度が、さらにカナ デを焦らせる。
そんなの素知らぬ顔でゆっくり煙 を吸い込むと、メイは休憩スペー スを囲むように設置された窓を眺 めた。
空には、綺麗な飛行機雲が一直線 に伸びている。
「……不思議なんだよ」
「え?」
カナデは恐々とメイの言葉に耳を 傾けた。
「アンタは確実に私を嫌ってるよ ね」
「そんなことないよぉ」
カナデの高い声は、逆にウソくさ さを漂わせる。
メイは無表情ながらもあきれた声 音で、
「気付かれてないとでも思って る?
私はそこまで馬鹿じゃない」
「…………」
観念したのか、カナデは黙ってう つむいた。ヒザの上で強くにぎりしめられた 彼女の両手は、小刻みに震えてい る。