幸せまでの距離
吸い終わったタバコをカナデの携 帯灰皿で処理させると、メイは口 を開いた。
「アンタは私の邪魔ばかりしてく る、ウザイだけの存在だった。
こんなんでも、一応夢があってこ こに来たからね。
……でも、昨日アンタを見かけ て、メグルから話を聞いてから、 違う感情が湧いてきたんだよ」
「…………何を聞いたの?」
さっきとは打って変わった、カナ デの低い声。
メイとまともに話をする覚悟を決 めたようだ。
「全部聞いた。
アンタがトウマってヤツの夢を応 援するために風俗始めたとか、メ グルがその男を好きだったとか」
「……あの女! 誰にも言うなっ て口止めしたのに……!!」
カナデは本性をむき出しにし、メ グルへの怒りをあらわにした。
メイは臆(おく)することなく、
「八つ当たりもたいがいにしろ よ」
と、やや強めに言った。
「トウマってヤツを責めるなら分 かる。
だからって、無関係のメグルを巻 き込むな」
「あの女は、トウマを取ったんだ よ!!
無関係なんかじゃない!!」
静かな廊下と休憩スペースに、感 情的なカナデの声が響いた。
「そんな大声出さなくても聞こえ るって」
メイは辟易(へきえき)する。