幸せまでの距離

高ぶる気持ちを抑えるべく、カナ デは新たなタバコに火をつけた。

メイは横目で彼女を見やり、

「あの時は悪かったよ……。

アンタの気も知らずに、偉そうな こと言った」

メイは入学式でカナデを怒らせて しまったことを謝った。

謝られるとは思っていなかったの だろう。

カナデはあからさまに驚いた顔を し、タバコを吸う手を止めた。

二人の間にあったピリピリした空 気は、ゆるやかに消えていく。



「男の裏切りを知ってもまだ、そ いつにしがみつくつもり?」

メイはトウマのことを切り出し た。

「アンタ見た感じ金持ちっぽい し、暮らしに困ってるわけでもな さそうだ。

こうして専門学校にも通ってて、 それなりに外見にも気を配って る。

望めば違う幸せが掴めるんじゃな いの?」

「……そうかな」

カナデは戸惑いがちにそうつぶや いた。

今まで一方的に嫌ってきた相手に アドバイス的な言葉を受け、調子 が狂ったというのが正しい。
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