幸せまでの距離
昔、父親と母親の言いなりになり、反抗 すらできなかった幼い自分が、記憶の中 で行き場を失い、今の自分を苦しませ続 ける。
新しい環境に……星崎家の一員になって も、長年続いた葛藤は解消されない。
メイ自身、それをもどかしく感じたし、 苦しくもあった。
「あの時、親に言えればよかったん だ……。
嫌なことは嫌だって。
つらいことはやめてほしいって。
吐き出さなかったから、ここまで引き ずってきたんだ。
あんな男、今さら父親だなんて思えない し、会いたくもないし、情も何もないけ ど、私は、アンタとあの男が会ってる様 子を遠くから見てる。
そしたら、何かが変わる気がするから」
「……わかった。
一緒に行こう…!」
メイは考えていたのだ。
自分を大切にするとはどういうことなの か。
ミズキは言った。
『これ以上、メイを傷つけたくない』
だが、メイは知っている。
生きている限り、全く傷つかずに生活す るのは不可能だと。
自分に合わない人は当然のように存在す るからだ。
では、真に自分を大切にするという事は どういう意味なのか。
それは、自分の成長に必要な事から、目 をそらしたり、逃げ出さない事。
そういった強さを身につけた人は、自分 を大切に出来る。
卑下することなく他人と向き合えるよう になる。