幸せまでの距離
長崎からかもめに乗って博多に向かう。
博多でのぞみに乗り換え、5時間。
新横浜に着くと、JRに乗って八王子ま で向かい、八王子から山梨市まではあず さに乗った。
これでも最短ルートのつもりだったが、 移動だけで9時間もかかってしまった。
午前8時に地元長崎を出たのに、山梨に 到着したのは午後4時を過ぎた頃だっ た。
夕焼け空が、一日の終わりをひしひしと 感じさせる。
山梨市駅は肌色を基調とした壁にレンガ 造りをイメージさせる外観をしていた。
茜色に染まった側面は、シックな印象を 強くする。
「ここに、父親が…?」
移動中、無言状態だったメイは、駅の外 に出るとようやく口を開いた。
「うん。あのマンションの向こうにある 住宅地に……」
駅前のマンションを指差し、リクはポ ケットの中から紙切れを取り出した。
翔子からもらった、金山保の住所が書か れている紙。
メイはリクの手元にあるメモに気付かな いフリをしていた。
「メイ、本当に大丈夫?
つらかったら、無理することない」
「平気。行くから」
リクの不安げな瞳を無視し、メイは歩を 進めた。
リクはためらいがちに彼女の横を歩く。