幸せまでの距離

メイはふらりと立ち上がり、再び金山宅 に足を向ける。

視線の先には、幸せそうな家族の住ま い。

メイはめまいがしそうになった。

“あそこに、私の異母兄弟がいる……”

金山保は、たしかに自分の父親だった。

なのになぜ、あの家に住む小学生の男子 児童は、自分と違う環境に置かれている のだろう。

父親は同じなのに、母親が違うというだ けで、こうも差ができるものなのか。


リクはメイの前に立ち、彼女の足を止め た。

「先に、俺が会ってくる!

メイはまだ、ここで待ってて!」

「……わかった。任せる。

私は駅に戻るから、話し終わったらアイ ツを連れてきて。必ず」

「わかった。絶対、連れてく」

駅方面に向かうメイを見送ると、リクは 小走りで金山宅に向かい、インターホン を鳴らした。


駅に戻る途中、メイはささやいた。

「会うよ、アイツに。

楽になるために……」
< 665 / 777 >

この作品をシェア

pagetop