幸せまでの距離
リクは、汗ばむ指先で金山宅のインター ホンを鳴らした。
数秒後、中から扉が開き、
「はい、いま出ます」
そう言いながら出てきたのは、保本人 だった。
数年ぶりの再会。
リクは頭を下げ、
「突然押しかけてすみません……」
顔を上げ、まっすぐ保を見つめた。
「昔、隣に住んでた松本リクです。
やっぱり、覚えてませよね……」
保はハッとしたように、
「ああ! 松本さんちの…!
リク君だね、よく覚えてるよ。
大きくなったね。全然、分からなかっ た。
でも、言われてみれば面影があるね」
と、嬉しそうに笑った。
訪問を迷惑がられると思っていたリク は、保の反応を意外に感じ、
「ご家族の方は?
今、話していて平気ですか?」
「大丈夫だよ。
ちょうど今、妻は子供と買い物に行って てね。
ちょっと離れた大型スーパーに向かった から、当分帰ってこないよ。
少し、外で話そうか」
リクの用件を読んだかのように、保は近 所の遊歩道に彼を誘った。