幸せまでの距離
夕焼け空が反射する河川。
遊歩道には、誰もいなかった。
「驚かないんですね、俺が来たこ と……」
目的が果たせて良かったのだが、保がす んなり話をしてくれるだなんてリクに とっては意外なことで、そう言わずには いられなかった。
保は手すりに両手をやり、河川を見つめ る。
「先日、僕の実家に、翔子から連絡が あってね。
近いうち、リク君がこっちに来るかもし れない、って。
驚いたし、どんな顔で話せばいいのか、 寸前まで考えたけど、いざ会ってみる と、なんとかなるものだね」
保は自嘲の笑みを浮かべる。
「僕は、人として、夫として、父とし て、男として、未熟な人間だった。
家族を持つなんて、まだ早すぎたんだ。
なのに、自分だけの家族が欲しいと願 い、翔子との結婚を急いだ。
……君に何を言われても、仕方がない。
覚悟はできてる。
リク君の知りたいこと、何でも話すつも りだよ」
落ち着き払った保の口調が、リクの神経 を逆なでした。