幸せまでの距離

「よく、そんなに落ち着いていられます ね…!

メイは今でも、あなたのせいで苦しんで るんです!

どうして、歪んだ愛情しか注げなかった んですか!?

メイのことが嫌いだったんですか!?」

「嫌いなわけない!

今でも、会いたくて会いたくて仕方ない よ……。

メイのことは、一日だって忘れたことは ない!」

リクにつられるように、保も興奮気味に 言った。

「愛してたよ、メイを……。

今の妻との間に、子供を授かることがで きた。

その子と比べられないくらい、メイは僕 にとって大切な子だ……。

愛してるから、育てていたんだ」

そこまで言うと、保はいったん言葉を区 切る。

「すまない、大きな声を出してしまっ て……。

『歪んだ愛情』か……。

そうだね、その通りだよ。

翔子に対しても、僕は歪んだ愛情を注い でいたに過ぎない」

「そうなんですか……?」

「メイを愛してるなんて言う資格、僕に はないんだ。


翔子と結婚する前、僕は、翔子を独り占 めしたかった。

彼女に、舞台女優を辞めて、僕だけを見 てほしかった。

結婚して、二人で幸せな家庭を築きた かった。

そのためにメイを……子供を利用したん だ、僕は……」
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