きのこうどん
人形劇が終わったらボクらは帰りに迎えに来るはずの車を待った。
 
帰りはちこの父さんが迎えに来る。
ちこの父さんはかなりのヘビースモーカーでいつも煙を
「フュウウウ」
って吹きながら黙っているから苦手だった。
予定ではこれからそのちこの父さんに山上じいちゃんの家まで送ってもらい、母さん達が少しおしゃべりをしてから解散。
 
会場付近には病院や公園など心落ち着くような場所が多い。

母さんたちは、最近この近辺に
京都で有名な老舗の蕎麦屋が進出したとか何とかで夕食を一緒に食べるかどうかを悩んでいたみたいだった。
 
待っている間、天気がいいので会場の裏手にある公園で散歩をすることになった。
 
会場の裏手は小さな庭園になっていてさらに奥へ進むと病院と小学校が隣合わせに建っている。
 
病院の患者さんや、学校帰りの小学生たちも
よく利用していた。

ついさっきまで暗く涼しい部屋にいたせいか
お盆休みなったばかりの公園はぎらぎら輝く太陽の元色濃く揺らいで見えた。
 
「暑い~。あついよぉ。」
 
ぐだぐだ言いながらもボクらは公園を周った。
 
母さん達はゆっくり歩く。
ボクらはそんな大人のペースには合わせず先に先にと進んだ。
 
近所の小学生が花を植えているらしく道を囲む花壇はきれいに整理してあり赤や黄色がよりはっきり写る。
 
花壇の手前の方にはひらがな書かれた看板が
種類ごとに立てかけてあって、何て名前かを表していた。

ボクらは二人で手をつないで走るに走った。真夏の公園を汗だくになりながら。
 
クジャクアスター、モルセラ、ペチュニア。
聞いたこともないような名前の花がたくさん植えられていて
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