Diva~見失った瞬間から~
「………そうなるな。」
「……。」
「その"答え"、
今でも聞きたいと思うのか?」
葉月君に聞かれて、考えてみる。
確かに、
今のは話題欲しさに出した話だけど、
葉月君が教えてくれるのなら、
私は知りたい。
葉月君が、私に優しくしてくれる理由。
「うん。聞きたい。」
…この体制、
凄く近くて恥ずかしいけど、
顔が見えないからまだ救いが有る…。
「…そう(…鈍感な奴だな)。」
「……。」
結局、間が入ってしまう。
……自分の話術の無さ、非常に悲しい。
「……じゃあ、教えてやるよ。」
葉月君は、
そう言った直後、私から離れた。
背中や肩が外気に触れるのが分かる。
「……?葉月君?」
「カナ。」
葉月君のその美声は、
右側から聞こえてきた。
「こっち向け。体も。」
肩をグッと捕まれて、
体を右にクルッとむけさせられた。
「…わゎっ。」
向き終えると、目の前に葉月君が居る。
その姿は見惚れる程に美しい。
「カナ。ちゃんと俺を見ろよ。」
そう言われて、
私は葉月君の瞳をジッと見た。
綺麗なダークブラウンは、
本当に透き通ってて吸い込まれそう。
やっぱり、葉月君はカッコいい。
いつの間にか…
その姿も、声も、人格も、
勿論私に差し伸べてくれる綺麗な手も。
全てが私のツボになってしまっている。
「カナ。俺らが初めて会ったのはいつ?」
「…?蒼空君の誕生日の直前…
くらいかな…。」
私が眠れなくて、
外に出てさ迷っていたら
美しい歌声が暗闇から聞こえてきた。
「あー…。やっぱりそうだよな…。」
葉月君は、少し眉をひそめる。
「……あれ、葉月君は、
それ以前に私に会ったことがあるの?」
なんとなく、葉月君の表情が
そう言ってる気がして。
私達は過去にも
会ったことがあるのかなって、
覚えて無いことを思い出してみる。
……やっぱり、記憶には無いな。
こんな美形と会ったら、
よっぽどの事が無い限り
忘れないと思うけど。