Diva~見失った瞬間から~
ふらふらと帰路を歩く。
CDなんて買ったの初めてかも。
いつもレンタルショップで
借りてるだけだし。
夕日が空を茜色に色付けている。
もう日が暮れそうだな。
そんなことを考えながら
俺は通学路である
小さな公園の前を通った。
「――…。」
「………?」
思わず足を止めた。
気のせいだろうか。さっき聴いたような
滑らかな音が聴こえた気がした。
「―――…。」
「………!」
やっぱり、聴こえる。
俺はその小さな公園に入った。
《キィ…》
「―――…。」
ブランコの金属同士が擦れあう音が、
たまにその甘い美声に
混じって聴こえた。
……ブランコ?
俺はブランコの方を見た。
「…。」
ブランコには、女の子が座っていた。