ミルクの追憶





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「クロエ……どこにいるんだクロエ!」


二コラが目を覚ますと、しっかりと腕に抱きかかえていたはずのヴァイオリンが姿を消していた。



「クロ、エ……どこにいったんだクロエ……クロエ!」


気が狂ったように彼女の名前を叫び、彼は家を飛び出して街の中を駆け回った。



「クロエ!だめなんだ、ぼくはキミがいないと生きていけないんだ!」


どうしてもクロエに会いたかった。

その黒く光るからだに触れたかった。もう一度その美しく哀しい音色を聴かせてほしかった。



「この、曲は……」


ヴァイオリンを追い求めていたはずの二コラの耳に、どこからかフルートの音が響く。



「これは、……どこかで、……ぼくは、」


さっきまではヴァイオリンのことしか考えられなかったのに、その音色を聴いた瞬間、二コラの心は冷却器にはいったようにスーッと冷めていく。

引き寄せられるようにその出所を辿って走った。





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