オレンジ
真相〜ayano〜

あたしの胸に、「やっぱり」という、諦めにも似た納得が拡がる。
あゆみさんがこの家に来る理由を自分なりに色々考えてみたけれど、それが1番辻褄が合う気がしていた。
友達なら、あたしとあゆみさんの関係を知っている拓真なら教えてくれる筈だ。
それをあえて口にしなかったのは、あたしに隠したい何かがふたりの間にあるからだとしか思えない。

「今は、違う?」
「…それはない。でも…会ってた。2人で」
「それは、違わないよ。今もあゆみさんと続いてるってことでしょ?」
「続いてるって…会ってはいたけど、それ以上なにも」
「抱き合ってるとこ、見たって。陽菜が言ってたの」

拓真は目を見開いた。
そこまで知られてるのは予想外だったのだろう。

「…それは」
「それはね、拓真。変わらないよ。浮気とおんなじだよ」
「違う」
「なにが?どう違うの?言ってよ!」

なるべく冷静に話が聞きたいと思っているのに、思いと裏腹に声を荒げてしまうことを、自分では止めることができない。
あたしは、人前で泣くことなんて大嫌いなのに、だからこれまでだって拓真の前でそんな姿を晒さないようにしてきたのに、涙も止まらない。
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