俺と初めての恋愛をしよう
「社会人になると、会社での地位が欲しくなった。昇進だよね。遊ぶ時間も割いて後藤は仕事に没頭した。その時の彼女は当然、気に食わない。後藤はけんもほろろに別れを告げた。それからは、多分、どこかの会社のお偉いさんのお嬢さんと見合いをして、少しは付き合ったと思う。でも、そんなコネを使わなくとも、後藤なら自力で昇進できる。分かるよね?」
今日子はうなずく。
「やっぱり男女の結びは、出会いと運命なんだよね。今日子ちゃんが新入社員で入ってきたとき、あいつは、気になる女がいると言っていた。それからもう何年? あの後藤の純真さに、俺は驚いたね。何度か、女を紹介しようとしたんだけど、全く興味を示さず、見向きもしなかった。そこまでして後藤の心をつかんだ女はどんなやつなんだと、凄く興味が湧いたけど、後藤は何も言わなかった」
今日子は、この言葉に一瞬気持ちが沈んだ。話さなかったのは、今日子が地味で暗く、醜いからだと。だから後藤は、話すことを躊躇ったにちがいない。
「しつこく聞く俺に、あいつは、繊細でガラスのような女なんだ。ゆっくりと時間をかけて作り上げていきたい。と言った。そしてイギリス転勤だ。俺は告白して連れていけと何度もいったけど、告白も出来なかったんだ」
今日子は、後藤がイギリスに転勤になると告示を見ても、そうか、あの人なら当然だろう。優秀な人だし。とそれくらいにしか感じていなかった。毎日、毎日、淡々と何事もなく過ぎて行って欲しいと言うのが、今日子の願いだったのだから。
「もっと大きな自分なる。その時、今日子ちゃんを自分の傍に置いて離さないと言って旅立った。植草先生に今日子ちゃんの様子を見させて報告を受けていた。いつも変わらない今日子ちゃんに安心していたが、いつ、今日子ちゃんを変える男が出てくるかと、気が気じゃなかったらしい」
自分だけの世界で生きてきた今日子には、後藤がいなくなっても寂しいとすら思わなかった。新入社員指導で後藤が今日子の担当になったが、仕事を教えてくれただけのことで、今日子にとっては上司という立場でいただけなのだ。
柴野の話を聞くと、いままでの強引さは納得できた。
「本社勤務が決まると、子供のように浮かれてね。でも、今日子ちゃんのことを知ると、ひどく落ち込んでいた。俺ではどうすることも出来ないのかと、酒を飲むとそのことばかりを言ってね」
「それは……」
今日子にとって、後藤の強引さは苦痛でしかなかった。
いくら以前から知っていた上司であったとしても、なんの感情も持たない人に強引に迫られれば、恐怖すら感じてしまうのは当たり前のことだ。
今日子はうなずく。
「やっぱり男女の結びは、出会いと運命なんだよね。今日子ちゃんが新入社員で入ってきたとき、あいつは、気になる女がいると言っていた。それからもう何年? あの後藤の純真さに、俺は驚いたね。何度か、女を紹介しようとしたんだけど、全く興味を示さず、見向きもしなかった。そこまでして後藤の心をつかんだ女はどんなやつなんだと、凄く興味が湧いたけど、後藤は何も言わなかった」
今日子は、この言葉に一瞬気持ちが沈んだ。話さなかったのは、今日子が地味で暗く、醜いからだと。だから後藤は、話すことを躊躇ったにちがいない。
「しつこく聞く俺に、あいつは、繊細でガラスのような女なんだ。ゆっくりと時間をかけて作り上げていきたい。と言った。そしてイギリス転勤だ。俺は告白して連れていけと何度もいったけど、告白も出来なかったんだ」
今日子は、後藤がイギリスに転勤になると告示を見ても、そうか、あの人なら当然だろう。優秀な人だし。とそれくらいにしか感じていなかった。毎日、毎日、淡々と何事もなく過ぎて行って欲しいと言うのが、今日子の願いだったのだから。
「もっと大きな自分なる。その時、今日子ちゃんを自分の傍に置いて離さないと言って旅立った。植草先生に今日子ちゃんの様子を見させて報告を受けていた。いつも変わらない今日子ちゃんに安心していたが、いつ、今日子ちゃんを変える男が出てくるかと、気が気じゃなかったらしい」
自分だけの世界で生きてきた今日子には、後藤がいなくなっても寂しいとすら思わなかった。新入社員指導で後藤が今日子の担当になったが、仕事を教えてくれただけのことで、今日子にとっては上司という立場でいただけなのだ。
柴野の話を聞くと、いままでの強引さは納得できた。
「本社勤務が決まると、子供のように浮かれてね。でも、今日子ちゃんのことを知ると、ひどく落ち込んでいた。俺ではどうすることも出来ないのかと、酒を飲むとそのことばかりを言ってね」
「それは……」
今日子にとって、後藤の強引さは苦痛でしかなかった。
いくら以前から知っていた上司であったとしても、なんの感情も持たない人に強引に迫られれば、恐怖すら感じてしまうのは当たり前のことだ。