俺と初めての恋愛をしよう
「もしもし? お母さん? わたし」

後藤が出勤すると、実家の母親に電話を入れる。

『どうしたの? 何かあった?』

 娘を心配する母の声であった。

「ちょっと、話があるから今日これからそっちに行くね?」
『構わないけど、会社は?』
「有休がたっぷりと残っていて消化しないといけないからお休みにしたの」
『そう、分かったわ。気を付けて帰ってくるのよ?』
「うん。じゃまた後でね」

 お正月に帰って以来の実家だ。
 妹とはメールなどをして連絡を取り合っているが、両親にはあまり連絡も入れない親不孝な娘だ。だが、今日は今日子にとって、勇気のいる告白をしに行く。母親が喜ぶか心配だ。
家事を済ませて、家を出る。 電車を乗り継ぎ一時間半程で実家に着いた。

「ただいま」
「お帰り。暑かったでしょう?さあ、入りなさい」
「うん」

 リビングに入ると、エアコンが入れてあり、此処へ来るまでにかいた汗が引いていった。

「麦茶にする? コーヒーにする?」

 キッチンから、母親が聞いてきた。

「うーん、コーヒーで」
「今日子、で、なあに話って」

 コーヒーを淹れながら早速聞いてきた。

「うん……。座ってから話す。今日、お父さんは?」
「最近残業なく帰ってくるから、8時くらいには家にいるんじゃない?」
「ふうん」
「はい」

 コーヒーを出され口を付ける。ケーキでも買ってくれば良かったと後悔した。

「それで? 話は?」

 今日子の向かいに座り、真剣な表情でいる母親に何処から話そうかと思いめぐらせ、直球で攻めることにした。

「あのね、お母さん。私、今、お付き合いしている人がいて、一緒に暮らしているの、その人のマンションで。それで、結婚を申し込まれていて、受けようと思うの」
「はあ!? お正月に帰ってきたときはそんな素振りを全く見せなかったじゃない。いつから?いつからのお付き合いなの? ちょっとびっくりしすぎて……お水飲むわ」

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