俺と初めての恋愛をしよう
 仕事中だから直ぐに返信できないのだと、母親にそれを母に言っても無駄な様子だった。
 暫くして無事に父から返信が来て、ほっとする。
 返信がくるまで、後藤のことをいろいろ今日子に聞きながら、お父さんとは違う、私もそんなこと言って貰いたい、などと言いながら膨れてしまい困った。母親も女なのだなと微笑ましく感じた。

「お父さんも早く帰ってくるって。今日子、ご馳走を作るから買い物に行きましょう。運転して」
「うん、分かった」

 久しぶりに気分よく楽しく買い物ができた。地元での買い物は知っている人に会うかも知れないという恐怖心から、出られないでいた。今もこうして買い物をしているが、なんとなく顔が下に向いてしまうのは、まだ完全にその恐怖心が拭いされていないのだろう。
 母親を見るとカゴいっぱいに食材を入れ、とても楽しそうだ。そして気が付いたことがある。もしかして、今日子のことで、心から楽しんだり笑ったりしていなかったのは両親や妹も同じではなかったのかと。 随分、長いこと待たせてしまった。自分の痛みばかりで、周りを気遣ってやれなかったのは、申し訳なく思う。そのことを気づかせてくれたのも、後藤なのかもしれない。
 今日子は、これから家族に贖罪をしていかねばならないだろう、後藤との幸せを続けること、そして何より今日子は過去を引きずらないで生きることでだ。
 母親は買ってきた食材を元に、献立を考えている。

「今日子、なににしようか」
「えっ!? 考えて買ってたんじゃないの?」
「いつもお母さんは行き当たりばったりよ」
「もう……、これだけあれば何でも出来るでしょ?」

 テーブルに広げられた食材を見ながら、母親と献立を考える。

「後藤さんは、好き嫌いはないのかしらね。お母さん緊張しちゃうわ」
「なんで、お母さんが緊張するの?」
「だって、料理がへたくそで嫌われたくないもの」
「……勝手にして」
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