俺と初めての恋愛をしよう
 今日子は、リビングから心配しながら書斎を気にする。

「大丈夫よ。お父さんはコーヒーを飲みながら男同志の話をしているだけなんだから」
「そうだけど」
「今日子、待たせたな。もう遅いから後藤さんと帰りなさい」

 書斎から父親が後藤と連れ立って出てきた。
 何を二人で話していたのかも検討はつかないが、後藤の顔がすっきりとしていてきっといい話をしていたんだろうと表情から読み取った。
 今日の話は恐らく、今日子には話さないだろう。今日子もまた、聞くこともしないだろう。
 いつか、あの時こんな話をしたんだ、と話をしてくれればそれでいい。

「さあ、帰ろうか。……突然おじゃまして、何も持たず失礼をいたしました」
「いいのよ。また二人で来て頂戴、待っているから」
「お母さん、またね」
「今度は後藤さんのご両親にお会いするんでしょ? 今日子だったら大丈夫だと思うけど、失礼のないようにね。また報告してね」
「わかった」

 後藤も軽く会釈をして出る。
 玄関で家族に見送られ、外に出ると、昼の暑さが残ってジメジメとしていた。

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