俺と初めての恋愛をしよう
「最近、休みますね」
「すみません、仕事を押し付けてしまって」

一緒の班で仕事をしている男性社員にそう言われた。
今日子は、謝ったが、久しぶりに気持ちが締め付けられるような、ぎゅうッと心臓を掴まれているような感覚になった。
仕事も繁忙期を抜かせば、庶務的な仕事はさほど忙しくない。だから、今はその時期でもあり、有給を取るにはちょうどよかったのだ。

「あ、いえ、そんなんじゃないんです。休みは取られないのかといつも思っていまして、自分ばかりが取ってしまって申し訳ないと思ってましたので」

仕事を教えてきた新入社員の男性社員だ。今日子はあえて取っていないわけではなかった。休みを周りに報告することも勇気がいることだったのだ。毎朝の打ち合わせでそれぞれのスケジュールを報告し合う。その報告が言いにくかったのだ。

「そうでしたか、気を遣わせてしまってごめんなさい。私も気が付けば有給がたまってしまって消化をしなければ、消滅してしまうことになってしまっていまして」
「それはもったいないですね」
「これからかなり有給を使うかと思いますので、遠慮なさらずにお休みください」
「分かりました、ありがとうございます」

最近の今日子は、週末を後藤と楽しく過ごして、明日は月曜日だと思うと、気が重くなっていた。有給を調べると、もう少しで、超過分になり、消滅してしまうところだったのだ。有給をためていたわけではないが、慌てた。
後藤との暮らしで、買い物も楽しくなり、有給をとっては買い物に出かけていた。
今の暮らしは、ほぼ不自由ないところまでになっていた。
後藤と結婚するなら、会社を退職しなければならない。器用じゃない今日子には、社員として働き、主婦業をこなすのは無理だと思っていた。

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