俺と初めての恋愛をしよう
「初めまして、林 今日子です」
「いらっしゃい、お待ちしていましたよ?」

 母親は、笑った笑顔が俊介に何処となく似ている。
 座るように促され、持参した和菓子を渡す。

「つまらないものですが……」

 お茶をいれて、テーブルに置き、母親が受け取る。

「まあ、まあご丁寧に……遠慮なく頂きます」

 頭を下げ、菓子箱を頭上へと上げる。

「じゃあ、母さん、その頂いた物を頂こうじゃないか」
「そうね。今、用意するわ」

 母親が菓子箱を持って再びキッチンへ行き、菓子の用意をする。

「父さん、以前から話をしていたけど、俺、この人と結婚することにした。なるべく早く式を挙げたいと思っている」
「そうだな。……今日子さん、俊介から話は聞いています。随分と長く待たせてしまって悪かったね」

長く?付き合ってまだ3か月しか経っていないが、何のことを言っているのか分からず、今日子は言葉に詰まった。

「えっと、あの……」
「あ!い、いや、それは俺が養って行くのに自信がなくて、待たせてしまったんだ。な?」

 今日子に一生懸命同意を求める。そこで思い出したことがある。
 以前、親に結婚をしないのかと、問い詰められたときに、もう今日子と結婚を前提に付き合っている、言ってしまった。と言っていた。話を合わせるべく、慌てて返事をする。

「いいえ、私にも決断までに必要な時間だったんです」

 隣で後藤が小さく溜息を付いていた。
 大切なご両親の前で嘘をつくなんて、後味が悪い。
 帰ったらしっかりと訂正させなくてはと決めた。

「でも、女性はその間にもいろいろと揺れ動く時期があるものよ?男性と違ってね。よく待っていてくれましたね。ありがとう。美味しそうな和菓子よ?季節の和菓子はこうゆう時しか味わえない物なのよ。わざわざ自分では買いに行かないしねえ。気が利くお嬢さんだわ」

 母親もようやく落ち着いて座り、話の続きを始めた。

「私達も待ったかいがあったわね? お父さん」
「そうだな。とても可愛らしいお嬢さんだ。俊介には勿体ないな」

 
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