俺と初めての恋愛をしよう
二つ目の和菓子に手を伸ばして、後藤の母親は言った。
 でも、ひとつ今の後藤と違う所がある。それは、今日子の言うことは何でも聞いてくれると言うことだ。そして、どんなことよりも今日子を優先してくれる。

「そうだな。……さあ、これから忙しくなるぞ?楽しみだな?今日の夕飯はどうする?」
「……これから予定があるから、今日は帰るよ」

 むっすりではあるが、怒りは収まったようだ。

「そう? 残念ね。今日子さん、今度はゆっくりと来て? 一緒にご飯を食べましょう」
「はい。是非」

後藤に促され、席を立ち、玄関へと向かう。
ゆっくりと話をすることもなく、一時間ほどで後藤の家をあとにすることになった。もっと話がしたいと思ったが、後藤の機嫌を直す方を優先する。

「今度はゆっくりと来なさい。まあ、どうせ俊介が今日子さんを心配して、初対面は短くしようと気を使ったんだろうが、お前の親はもっと心が広く、物分かりがいいぞ? 分かったか?」

父親も母親も後藤の親だ。なんでもお見通しだった。

「わ、分かったよ」

 罰の悪そうな後藤を見るのは初めてで、今日子は笑ってしまった。
 車に乗り込み走り去るまで、後藤の両親は見送っていた。姿が見えなくなりウインドウを閉めた。

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