俺と初めての恋愛をしよう
順調に行っている今日子と後藤の生活だが、会社でも同じようにしてくることが今日子の悩みの種だった。

「部長、ここではだめです」
「今日子も知っている通り、誰も来ないだろう?」
「……んっ」

今日子の秘密の場所であったところが、すっかり密会の場所となり、後藤は癒してくれと、今日子が弱い言葉を言って迫って来るのだった。
当然キスで終わっているが、今日子はいつ誰が来るか気が気ではない。

「一緒に住んでいるのに……」
「場所が変わると、また違うだろ?」

そんなことを言ってはにやけて迫ってくる。
同僚と休憩を過ごすようになった今日子は、秘密の場所に来る回数も減っていた。後藤は、少しそのことが不満だった。今日子が人と関わりを持つことは望ましかったが、世界が広がる今日子に、寂しさを感じていた。
まるで、手が離れていく子供のような感覚だ。
後藤と過ごす毎日は、今日子には試練の連続でもあった。
嫌いとか、嫌だとかそういうものではなく、家族以外での普通の会話に、いきなりの男女関係。
毎日があたふたしている。軽い言い合いも出来るようになった。だけど、その後にひどく落ち込む。傷つけてしまったのではないかといちいち気になる。そうなってくると、会話自体が辛くなってくる。
話をしなければこんなことを気に病むことはないのに、どうしてこうなってしまったのだろうかと、些細なことで悩んでしまう。
ため息が多くなっていた。
後藤のことは愛しているが、今日子自身の深いところがまだ、男女の恋愛関係以前の問題を解決出来ていない。
就業時間になると、植草に少し付き合ってもらうことにした。

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