俺と初めての恋愛をしよう
何回かこんなことが続くと、今日子も何も言わなくなる。
普通に生活しているようで、常に後藤が気を使って疲れていないかと、気になってしまう。
気になりだしてしまうと、色々なことが気になり始め、仕事から帰って後藤が帰宅するまでの間が、ほっとする時間になってきている。
このままでは結婚すらできない。そこまで今日子は思いつめている。

「後藤君にちゃんと話をしたの?」

今日子は首を横に振った。

「結婚は長いわ。ため込んでいたら、いつか大きな爆発が起きる。常に夫婦として対話が必要になってくるの。気を使いすぎていたら一緒に生活なんて出来ないわよ?」
「はい」
「それに、夫婦になるんだもの。多少、荒い言葉を使ったっていいの。ケンカになるけど、うっぷんをためている方が修復不可能になることが多いのよ」
「先生もケンカは?」
「うちは、子供がいるから寝た後とか、いないときに思い出したように言い合いして、ケンカになるの。だけど、その時に言わないから、お互い過去のことを引っ張りだしたり、思い出したりしたことを言うのもだから、それは大げんか。暫く口もきかなくなるもの」
「そうですか」
「でも、不思議と、いつの間にか普通に戻っているの。それが夫婦として過ごしてきた絆? 信頼関係なのかしらね。家族なのね」
「家族……」
「恋人同士なら、別れれば済む。でも夫婦となると、離婚までの決心は些細なことではつかないものよ。そこが大きな違いね」
「はい」

今日子は器用ではない。きっと最近の今日子の様子から、後藤は何かを感じ取っているに違いない。

「後藤君に話してみなさい。それくらいであなたを離したりしないわ」
「ええ、そうですね」


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