俺と初めての恋愛をしよう
植草に話をすると、少し胸のつかえがとれた。
今までは一人で悩みを解決していた。いや、一人だったから対人関係の大きな悩みはなかったのだ。
一人で悩むことなど、小さなことだった。誰に話さずとも解決できるものばかりだ。
お腹を空かせて帰ってくる後藤の為に、植草と別れると、夕飯を考えながら帰路を急ぐ。
マンション近くのスーパーに立ち寄ろうとしたき、スマホが鳴った。

「もしもし?」
『今どこにいる?』

電話は後藤からだった。

「マンション近くのスーパーです」
『今から行くからそこに居なさい』
「え?……わかりました」

どうして後藤が今から来るのだろう。
仕事は切り上げたのだろうか。ふと、腕時計を見ると、7時を少し過ぎたところだ。今日子が植草と話していた時間は一時間ほどだ。
不思議に思いながらも買い物を続けていると、後藤の姿が目に入った。
今日子はその姿を見ると、自然と笑みがこぼれ、うれしい気持ちになった。

「お帰りなさい。早かったですね」
「ああ、なんだか腹が減って、切り上げて帰って来た」
「そうですか」
「今日子、外で食べないか?」

今日子は会食があまり好きではなく、後藤と暮らし始めても外食をせず、弁当などを買ってくることが多かった。
後藤もそのことを分かっているから、無理に誘うこともなかった。

「すぐに作れますが、そんなにお腹が空いてますか?」

今から作れるものはたかがしれている。
30分もあれば作れる。

「いや、そうじゃないが……少し、楽をしなさい」

そう言うと、後藤は今日子が持っていたカゴを持って、商品を戻し始めた。
まだ数点ほどしか入れていなかった。
何か気になることをしてしまったのだろうかと、今日子は気になり始めた。
並んでスーパーをでると、今日子は不安になる。

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