俺と初めての恋愛をしよう
この日もその予定で、夕飯は外食にしてほしいとお願いしたところだった。
だが、後藤の返事は今日子の予想を外していた。
毎回気持ちよく送り出してくれていたからだ。

「ダメ」
「どうしたの? 何か用事でもあるの?」
「特にない」
「少しの時間だけですし、あまり飲みません。いつもと一緒です」
「……」

後藤の顔は機嫌が悪く怒っているようでもない。拗ねているように見える。

「ずっと断っていたんですよ? いいですよね? ね?」
「ん~」

今日子は、かわいく強請る術を付けていた。
物を買ってもらいたい時に使うことは全くなかったが、こうした誘いの場合にはフルに活用した。

「二時間ほどです。すぐに帰りますし、あまり飲みませんから。約束します」
「……仕方ない」
「ありがとう」

全く納得していないと言った顔をしているが、許しはもらえた。
普通なら、許しなど信じられないと思うだろう。だけど、後藤に関してはダメなのだ。
会社でも今日子に触れたい、傍に居させたいと言った欲求を抑えている。常に自分の傍に置きたい後藤は、家での時間が大事なのだ。それは今日子と暮らし始めた頃よりも強くなり、時に今日子を困らせた。
まだ公にできていない関係上、二人での外出もままならないからだ。後藤のうっぷんがたまり始めているのだ。
慌ただしく朝食を食べて、後片付けをする。
パタパタと忙しく歩き回るのは毎朝の光景だが、それを後藤が邪魔をした。

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