やさしい色
それとも―――……。
続く言葉が一足先に入栄の脳裏を過ぎった。
わたしに、愛想を尽かした……?
入栄は喘ぐように口を半開きにしたまま、無造作に通学鞄を足元に落とした。
荒々しく彼女を引き寄せて、無我夢中、すがりつくように華奢な身体を抱きしめる。
「入栄く―――」
「もう、無理。もう無理だよッ俺。早く俺を好きになって! もう待てないんだ。……ほんとうは、吉崎さんに好きな男がいるってだけでも、おかしくなりそうなくらい苛々してる」
好きだ―――、好きなんだ。
愛してる。
……いけない、やめろと制止する声が聞こえる。見苦しい真似は寄せ。
嫉妬に狂った姿なんて、100%嫌われるだけだってわかってんだろ。
そう、頭ではわかっているのに―――……。
「俺なら待てるって言った。和眞くんが好きでもいいって確かに言った。……でも、やっぱ、しんどいよ……。
無理して気持ちを返して欲しいとまでは思ってないけど、吉崎さんの視界にちゃんと俺は映ってんのかなって、俺の声は届いてんのかなって、いつも考えてる。
……不安に、なる。
こうして抱きしめてても、吉崎さん、ちっとも抵抗しないから、ほんとうは俺を哀れんでおとなしく抱きしめられてくれてるのかなって……そんな、そんなことばっか、俺、おれ……」