キミの香り[短編]
「祥ちゃん…仕事行こか」
俺は顔を上げて、出来るだけの笑顔でそう言った。
祥ちゃんは俺を見て、ニコリと笑った。
「…車どこにあんの?」
「あ、裏の駐車場や」
祥ちゃんはその言葉を聞いて、俺の車を取りに行った。
祥ちゃんが駐車場から車を出して来て、
俺は、祥ちゃんが運転する車の助手席に乗り込んだ。
その時………
「この…香水……」
乗った瞬間、フワリと甘い香りがした。
車の助手席には―――茉矢に渡すつもりだった、あの香水が置いてあった。
「……茉矢の、香りだ…」
キレイな、スカイブルーの入れ物。
俺はそっと、香水を手に取った。
「茉矢に…付けて欲しかったわ…」