キミの香り[短編]
絶対絶対、茉矢に似合ってたんよ?
絶対絶対、茉矢が気に入ってくれると思ってたんよ?
「これ見るとやっぱ、思い出すわ…茉矢の事…」
茉矢の声。茉矢の笑顔。
茉矢の全部が…
「大好きだったよ…」
その時、黙って見ていた祥ちゃんが俺の手から香水を取った。
「ずっと、持っとけばいいだろ?」
「え…?」
「無理に忘れるなんて、カッコ悪いわ。
それよりも、ずっとずーっと想い続けてた方が断然カッコイイ。
吹っ切るのと、忘れるんは違うモンやで?」
そう言って祥ちゃんは、香水を俺の手の中に戻した。
祥ちゃんの言葉に、胸がジンとする。
「忘れんで…いいんかな?
茉矢のこと…想ってても、いいんかな…?」
「当たり前やん。
好きな気持ちを、無理矢理隠す必要なんてない」
「…うん」