キミの香り[短編]


絶対絶対、茉矢に似合ってたんよ?
絶対絶対、茉矢が気に入ってくれると思ってたんよ?




「これ見るとやっぱ、思い出すわ…茉矢の事…」




茉矢の声。茉矢の笑顔。

茉矢の全部が…




「大好きだったよ…」




その時、黙って見ていた祥ちゃんが俺の手から香水を取った。




「ずっと、持っとけばいいだろ?」


「え…?」


「無理に忘れるなんて、カッコ悪いわ。
それよりも、ずっとずーっと想い続けてた方が断然カッコイイ。

吹っ切るのと、忘れるんは違うモンやで?」




そう言って祥ちゃんは、香水を俺の手の中に戻した。
祥ちゃんの言葉に、胸がジンとする。




「忘れんで…いいんかな?

茉矢のこと…想ってても、いいんかな…?」


「当たり前やん。

好きな気持ちを、無理矢理隠す必要なんてない」


「…うん」


< 16 / 17 >

この作品をシェア

pagetop