my home


『このリボンは二本じゃないと意味ないの!』


戸惑った表情をした俺に夢亜はもう一度言った

その言葉をきいてか少し嬉しくなった




『はい、できたぁ!!』


夢亜と半分でわけてゆうくんの髪を結んだ

まだ柔らかいゆうくんの髪の毛は くるんっとなっていて
2つ結びをしているゆうくんは、一目で男の子とわからないくらいかわいい
その姿は俺のなかで誰かにかさなった

『わぁ!!ありがとう、おにーしゃんっ』

ポケットにはいっていた鏡でみせてあげると
目をキラキラと輝かせてお礼をいったゆうくん


『ゆうー!!!!!!』

ゆう君の名前を叫びながら走ってくる女性

後ろに日向たちの姿もみえる


『あっままぁ!!!!』

ゆうくんの表情がぱぁっと明るくなる


ぎゅっという効果音がでるんじゃないかっていう勢いで抱きつくゆうくんのお母さん


ゆうくんのお母さんが見つかって嬉しいはずなのに
どこかで切なく感じる自分がいた


『本当にありがとうございました』

『気にしないでください』

深々とお礼をいうゆうくんのお母さんに
夢亜がやさしく微笑む


『ゆうくんばいばーいっ』

『ばいばいっ』

お母さんと手をつないで歩きだしたゆうくん

少しずつ小さくなっていく背中
『あっそうだっ!!』

ゆうくんが手をつないだまま何かを思い出したように立ち止まった


お母さんに何かを話してとことこと走ってこっちにむかってくる


『ゆうくんどうしたの??』


ゆうくんは自分のポケットをごそごそとあさって
何かをとりだした


『こりぇ、僕のたからものなのぉ!! おにーしゃんたちにあげる』


ゆうくんの小さな手のひらには2つのバッジ


『ママがごほーびにいつもくれるの!! だからおにーしゃんにもあげる』
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