美容師男子×美麗女子
「だって千咲さ、告白もさせてくれないから」
「いまのは迂闊だった。ずっと、言わせないつもりでいたのに」
「なんで?」
「だって、友達じゃなくなっちゃうじゃん」
千尋の髪を触る。
後ろ半分にまとめてあった髪をほどいた。
「じゃあ、千咲は俺のこと嫌い?」
「そう言うんじゃなくてさ。あぁ、やめようこの話。あたし、今はそういう考えになれない」
千尋の髪を触って、あたしは離れた。
少し眉を寄せた千尋が可愛かった。
「嫌いじゃないよ、好きだけど、」
はぁ、と諦めたように千尋は机に向き合った。
はじめて、千尋が自分のことを堂々と喋ったと思う。
いつも、人のことは喋らせておいて、自分のことは話さない性格だったから。
話すとしたら、将来の夢くらいだった。
「じゃあ、いつ?」
むすっとした顔で千尋はあたしの顔を伺った。
子供みたい。
「いつだろう」
「なんだよそれ」
「千尋は急いでるの?」
「いや・・・・・別に。だけどさ、結局逃げられた気がした」
「逃げてないけど」
結局その日はそのまま、勉強をして終わりだった。
告白されて、こんなに曖昧に終わったのは初めてだ。
まぁ、これもこれでいいかな、なんて。