美容師男子×美麗女子
「なんか、出来が悪いって言うかぁ」
とか言いながらも、じっくりと自分の爪を見ているアミは、どこか嬉々としていたのに気付いた。
あたしもこのバイトをして大分経ったけど、1番年齢が近いアミのことは大体把握している。
ネイルを他人に悪く見せて、自分が気に入った美容院を教えさせないためだろうな。こういうときのアミは。
「恋でもしたんだ」
あたしが何気なくそう言うと、アミの顔は真っ赤になった。
隠そうとして、ばれるのが1番恥ずかしい。
きっとアミは今そんな気持ちでいっぱいだろうな。
「別に、そう言うのじゃないけど?なんでそう決め付けるのよ」
「アミとはもう長く付き合ってるからね」
あたしは前髪をとめて、ベースメイクをしはじめた。
少しでもこの顔色をなんとかしないと。
「・・・・・・・分かる?」
「うん、まぁ。隠したい美容師さんでも居るの?」
「行きつけのお店の人なんだけど」
「へーえ」
適当に終わらせて、ファンデーションを顔に伸ばした。
あたしの顔色になじんでいるこのファンデーションは、千尋がくれたもの。
アミはついこの間まで、別れた彼氏のことを引きずっていたのに。
まぁ何にしろ立ち直りが早いことはいいことだと思う。