美容師男子×美麗女子


「なんか、出来が悪いって言うかぁ」


とか言いながらも、じっくりと自分の爪を見ているアミは、どこか嬉々としていたのに気付いた。

あたしもこのバイトをして大分経ったけど、1番年齢が近いアミのことは大体把握している。

ネイルを他人に悪く見せて、自分が気に入った美容院を教えさせないためだろうな。こういうときのアミは。


「恋でもしたんだ」


あたしが何気なくそう言うと、アミの顔は真っ赤になった。

隠そうとして、ばれるのが1番恥ずかしい。

きっとアミは今そんな気持ちでいっぱいだろうな。


「別に、そう言うのじゃないけど?なんでそう決め付けるのよ」

「アミとはもう長く付き合ってるからね」


あたしは前髪をとめて、ベースメイクをしはじめた。

少しでもこの顔色をなんとかしないと。


「・・・・・・・分かる?」

「うん、まぁ。隠したい美容師さんでも居るの?」

「行きつけのお店の人なんだけど」

「へーえ」


適当に終わらせて、ファンデーションを顔に伸ばした。

あたしの顔色になじんでいるこのファンデーションは、千尋がくれたもの。


アミはついこの間まで、別れた彼氏のことを引きずっていたのに。

まぁ何にしろ立ち直りが早いことはいいことだと思う。


< 189 / 210 >

この作品をシェア

pagetop