美容師男子×美麗女子
アイライナーを置いた。
そして、アミの爪を少しだけ見る。
ふと、思い当たる節があった。
「…ねぇアミ、今度その美容室、あたしも連れてってよ」
「えぇ?どうしたのよ、打ち上げにだって参加しないあんたが」
「アミが言う“素敵な男”が気になったのよ。これからの恋愛に参考にしたいしね」
あたしは至極、満面の笑みを見せた。
アミはあたしの下心に気付かずに、照れながら下を向き、了承してくれる。
□ □ □
土曜日。
今日は夜からバイトが入っているが、あたしはアミと2人きりで街に居る。
「どこにあるの?」
タクシーから下りて、数分は歩いている。
仕事用の高いヒールは人間生活をするのに向いていない。
「あとちょっと」
アミの歩く早さはそのヒールだと言うのに、驚くほどの速さだ。
着いていくので精一杯。
あたしの思い当たる節、とは。
アミのネイルのデザインで、直感的に千尋のものだと思ったんだ。
だけど、今から向かう美容院はこんな街中だ。
千尋の実家の美容院とはかなり離れている。
もしかしたら、あたしの思い違いだったのかもしれない。
そんな、ネイルのデザインがたかだか千尋っぽかっただけで、こんなに気にするあたしもどうかしてる。
別に、千尋が誰の髪を触ろうが、ネイルを施そうが、あたしには関係ないじゃない。
そう、自分に言い聞かせているのだから、あたしも終わったなと思う。