美容師男子×美麗女子
「ここよ」
アミは立ち止まった。
あたしが見上げたのは、ビル。
どうやら、その建物の2階にあるらしい。
オシャレな外観で、1階にはカフェが入っている。
アミは超人的な速さで階段を駆け上り、すぐに店に入っていった。
いらっしゃいませ、の声と、アミの一段と高くなった声が聞こえる。
あたしもそれに遅れて、店の中に入る。
「今日は、友達も連れてきたの」
上着を店員に預けるアミは、あたしと目を合わせた。
女性店員さんが、あたしに上着を預かります、と手を差し出した。
アミはどうやら受付で今日の予定を伝えているらしい。
あたしもアミと同じで、と同意しようとした時だった。
ガシャンと真横で音がする。
横を見やると、あたしのイライラボルテージはマックスに達した。
黒髪をきれいにセットして、大人っぽい服で、腰にカフェエプロンみたいなのを巻いている。
失礼しました、と引きつった笑顔で床にぶちまけたボトルやらを拾っていた。
「あっ千尋くん」
アミの甲高い声で、あたしの核心をついた。
千尋だった。
あたしが知っているような、ぼさぼさの長めの髪を後ろに縛っているのじゃなく、きれにセットしてあって、全然同い年には思えないような千尋。
「アミ、あの人?」
「そう」
アミは照れながらそう言った。
やっぱりか、とあたしは拾い終わった千尋を見てそう思う。