美容師男子×美麗女子
アミがぞっこん中の千尋くんは、あたしを見て動揺したのか知らないけど物を落とすと言う失態をおかしているし。
普通に客として来てるのに、何を動揺してんの?
…別に、バイトしてる事をわざわざあたしに知らせる義務も無いんだし。
「アヤカ?行こう」
「あぁ、うん」
夕方と言う時間帯で、客が少ないらしく、すぐにあたし達はお店の中に通してもらった。
アミはもちろん千尋指名。
あたしは知らない美容師さん。まさに美容師さんって感じがする、お兄系のひとだ。
「今日はどうなさいますかぁ?」
間延びした声が嫌にむかつく。美容院って、微妙な会話のやりとりが苦手なんだ。
「あぁ、盛っちゃってください」
「盛っちゃってって…。きつめに巻いて、サイドに流す感じでいいかな?」
「あーはいそんな感じで」
美容師さんは苦笑する。
椅子に座らされて、首にタオルを巻かれた。
ちらりとアミのほうを見てみると、千尋とそれはまぁ仲良くやっているみたいで、楽しげだった。
千尋なんか、あたしに見せたことも無い営業スマイルなんか見せちゃって、どうしようもなく苛苛する。
「隣の人、バイトなんですよね?もう髪の毛触ってもいいんですか?」
「あぁ、千尋くんのこと?たしかにバイトだけど、アミさんに指名もらってるし、カットするわけじゃないから大丈夫だよー」
ばちりと千尋と目があった。
あたしは無表情で、その目を反らす。
アミの猫なで声があたしの機嫌を逆撫でる。
なによ、千尋だってまんざらでもなさそうじゃない。