美容師男子×美麗女子
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「ちょ、千咲まじで。いま1時」
「知ってるわよ。どうせ起きてるんでしょ?」
「起きてるけどさ、そろそろ寝ようと思ってたんだよ」
部屋に入れてくれた千尋はそう言ったけど、その割には髪型は夕方のまま、綺麗にセットしてあるし、服だって着替えていない。
千尋だって、たった今帰ってきたばかりの様子だった。
あたしもこのままの格好でよかった。
お互いに見せ付けてるみたいで、なんか滑稽だけど。
「…バイトしてたの」
「あぁ、最近な。あそこの美容院、叔父さんが経営してるんだ。簡単な作業手伝ってくれって言われて」
千尋のベッドに座り込む。
さっき染み付いた香水のにおいが、千尋にまで移りそうだ。
それも悪くない、とあたしは思う。
「それより千咲、よく俺があそこで働いてるって分かったな。まじでびびった」
千尋は何も気にしていないように、けろりと笑う。
「…アミのネイル」
「ネイル?」
千尋は顎に手をやり、考えるような素振りを見せた。
「アミってあの、一緒に来てた人?」
「とぼけないでよ、鮮明に覚えてるくせに」
「いやいやお前、俺が何人の顔見てると思ってんだよ」
千尋は笑った。
どうしてこいつはこんなに能天気なんだろうか。
あたしだけが気にしているみたいで、腹が立つ。