美容師男子×美麗女子
「先生、外はもう暗いですよ。女子高校生にこんな夜道を歩かせて、何かあったらどうすんですか。一応彼女は否定をしているわけで、18時に帰らせるということは先生の“無理やり”な行為なんです。その場合、責任を取るのは先生、あなたなんですよ」
「「…………」」
あたしと先生は、千尋の突然の登場と次から次へと出てくる催促の言葉に固まってしまった。
「プリント3枚やったら、充分じゃないですか。残りは自宅でやってもらえば結果オーライだと思いますよ。安全面のことも考えて、もう帰らせるべきだと考えます」
「お、おお、そうか、君がそこまで言うなら、そのほうがいいかもしれないが…、いや、君らってそんな仲良かったっけ?」
「仲がいい・悪いの問題ではありません。彼女をいち女性だと見た上での考えですから」
「…」
あたしは言葉が出なかった。
何言ってんだ、こいつ。ってことしか考えられなかった。
「ま、まぁ、とう言う訳で、残りは家でやってきなさい。月曜の帰りに提出とします。気をつけて帰りなさいよ」
「あ、はい」
先生は苦笑しながら立ち上がった。
もちろん、あたしに残りのプリントを渡して。
先生が教室から去っていくのを遠目で見ながら、あたしは千尋を見上げた。
「帰るぞ」
「う、うん…」
鞄に荷物を詰め込んで、教室を出る千尋の後ろに続く。
「ち、千尋どうしちゃったの?…すごい文章能力だったけど」
「どうしちゃったの、はこっちの台詞だっつの。なんだよ、昨日のあれは」
千尋は不機嫌そうな目をあたしに向ける。
はっと昨日の記憶がよみがえる。
「…今日、仕事は」
「…ないけど…。千尋のほうこそ、どうなのよ」
「俺もない」
下駄箱で、靴をはく。
高い靴箱の壁を介してでも、千尋は頭1つ分飛び出ているから見つけやすい。