美容師男子×美麗女子
「千咲、怒ってんの」
「え?」
「昨日、聞きそびれただろ。お前、何も聞かずに飛び出しやがって。深夜1時に」
歩いているうちに、公園の街路樹のライトがついた。
「…りんご」
は?と千尋は不機嫌そうな顔をあたしに向けた。
あたしも引かずに、強めにりんごを強調する。
「りんご!!」
「…ゴリラ」
「ラッパ!!」
「パンツ」
「千尋負け」
「は?パンツに行くのは常識だろ」
「じゃあ分かった。全部パンツにいくしりとりしよう。はい、アメリカ」
千尋はあたしを怪訝そうに見下ろした。
その視線に負けないように、見上げる。
「…カンボジア」
「アフリカ」
「カナダ」
「だんご」
「いきなりだんご来たな。ゴマ」
「まくら」
「ラッパ」
「パンツ。待って、ラッパからのパンツは小学生までだよ?高校生だからさ、もっと違うパンツへの流れにしようよ。折り紙!!」
あたしが何事もなかったかのように千尋の自宅を通り過ぎようとすると、腕を掴まれる。
「折り紙ー、からのミカンー」
「…蕎麦!!」
「番犬」
「…イワシ!!」
「シクラメン」
「花火!!」
「ビビんなって千咲さん」
「離せ千尋」
「露骨ですね千咲さん」
ずるずると引き摺られるがままに、部屋に押し込まれた。
「…」
千尋はごく普通に鞄をおろして、ブレザーの上着を脱ぎ捨てる。
「…で?何に怒ってんの?千咲」
千尋はベッドに座った。
部屋の端あたりでうろうろしていたあたしを引っ張って、隣に座らせた。