美容師男子×美麗女子
「あたし、見たいな」
母の自信作の卵焼きを頬張った。
家族全員が認める美味しさ、この卵焼きにはチーズが入っている。
「彼氏さんを」
口を押さえて、ちょっと笑って見せた。
さっきまで雄弁だった彼女は不自然に笑う。
「写真撮ろうって言っても撮ってくれないんだよね」
「そうなの、残念ー。イケメンだって聞いて、ちょっと期待してた」
「うん、また今度機会があったらね」
不自然に、友人は別の話に切り替えた。
やっぱりこいつ、全部嘘だったみたい。
今の反応、ちょっと面白かったかも。
あたしはお茶を飲み干して、友人の話を聞きながら笑顔をつくった。
やっぱり、女の子って嘘でできてるんだ。
あたしだけじゃないみたい。安心した。
予鈴が鳴って、彼女はすぐにあたしから離れていってしまった。
嘘を見抜かれてしまった、とでも言うみたいに。