美容師男子×美麗女子


「店って?」

「あのさぁ、千咲は忘れてるかもしれないけど、一応俺の家、美容室だからな?前回は親が出張行ってて店閉めてただけで、今日は普通に営業してるから」


頭をぐるりとまわしてみた。

あぁ、そうか。千尋の家は、美容室だったっけ。


「ってことは、お母さん?が、居るの?」

「あぁ」

「お客さんも?」

「そうだな」


うーん、今日はダメなのか。

せっかく足にアートしてもらって、仕事で自慢しようと思ったのに。


「・・・俺の、部屋」


千尋は視線を外していた。

あんまりに声が小さすぎて、聞き取りにくかったけど、あたしには聞こえた。


「千尋の部屋?」


妙に大人びてる千尋だけど、誘い方は健全な男子高生だな。なんて。


「なんもしないならいいよ」

「しないわ!」


初めての千尋の鋭いツッコミを頂いた。

千尋でも、こんなところがあるんだ。


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