美容師男子×美麗女子
「うん、充電完了」
「充電?」
「なんか、千尋触ってると癒されるんだ」
もう1回千尋の癖毛を触ってから、あたしは自分の爪に目をやった。
「これ、完成?」
「いや、トップコート塗ってから完成するつもり」
今度は千尋は透明のビンを手に取った。
こいつは何でも持ってるんだな。
「そういうマニキュアとかって、自分で買ってるの?」
「店で使わなくなったものとか、余ったものもらったりしてることもある。まぁ、たまに買うけど」
千尋はあたしの足を掴んで、親指の爪に透明なマニキュアを塗っていく。
「それって、意味あるの?」
「日持ちするし、マニキュアがはげにくいから」
「へぇ」
1つ1つ丁寧な千尋の仕草に見とれる。こいつ、本当に高校生か、って。
「千尋のお母さんは、千尋をお店に出さないの?」
「俺は、時間かけすぎなんだってさ。技術面なら合格出してやるけど、営業には向いてないなって言われた」
「厳しいね・・・」
それでも千尋は嬉しそうに笑っていた。
「俺はこっちの方が好き」
「お店に出たくないってこと?」
「まぁ、そうなる」
白くて長い指が、あたしの爪を施すたびに、ふわふわした感じになる。
本当に、千尋は癒し系だなぁ。
「また今度もやってね」
「喜んで」
あたしは立ち上がった。