青のキセキ

電話で言っていた通り、土曜日に綾はやって来た。



と言っても、来るのは決まって夕方近く。


外で夕食を食べ、マンションで一晩を過ごし、よく日曜日のお昼過ぎに帰ってゆく。



そんな週末を過ごすのが、それからは当たり前になった。




憂鬱な夜。



綾が抱いてと迫るのを、どうやってかわすか。


綾を抱くことが躊躇われるのは、やはり美空の存在が大きいからだ。





案の定、週末来る度に「抱いて」と迫る綾。



体調が悪い、疲れてる、酔って寝たふり等して今の所は何とかかわしている。


もちろん、綾は不満そうだ。日曜日の朝は、かなり機嫌が悪い。



この間なんか、


「どうして抱いてくれないのよ!他に女でもいるの!?こんなことなら、私が来る意味ないでしょ!」


と詰め寄られた。


その前は、


「あれだけ性欲の強かったあなたが、一体どうしちゃったの?たまってないの?それとも、一人で処理してるの?」


とか言ってたっけ。



ふざけんな!俺は野獣じゃねぇ!!!



くそっ!



こうなったら、いっその事、不能になったと言ってしまった方がいいんじゃないか...なんて真剣に考える俺。




綾には悪いと思う。俺の子供が欲しいという綾。


その綾を抱いてやれば、綾の気が済むのだろうか。


でも、心無いセックスをしたいとも思わない。俺が抱きたいのは美空だけだから。







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