青のキセキ
想いを胸に



よく晴れた翌日の朝。



ホテルをチェックアウトした私は定刻通りに飛行機で南の島へ向かった。


南の島が近づくにつれて、海の色がコバルトブルーに変わって行く。


透明感のある海と澄んだ空を見ながら、私は課長と九州へ出張したときのことを思い出していた。



『海』と『空』しかない景色は、まるで課長と私だけしかいないかのように錯覚させてくれる。


あの時、課長も同じように感じてくれて、すごく嬉しかったのを覚えている。


そして、初めて課長に抱かれた夜。


あれから楽しいことや辛いこと、色々あったけれど、課長がそばにいてくれるだけで幸せだった。


今回も最後に相応しく幸せな時間になるといい...。













空港で次の便で来るはずであろう課長を待つ。



久しぶりに課長と二人でゆっくりと過ごせると思うと幸せを感じるのと共に、旅行の終わりは課長との別れを意味することに胸を圧迫されるような痛みを感じていた。







次の便で課長はやって来た。




「美空」



私の姿を見つけて優しく微笑む彼。





「おはようございます」



私も笑顔で課長に挨拶をした。










「知ってるヤツに会わなかったし、一緒の便でもよかったのに」



歩きながら課長が言った。




「結果的に会わなかったかもしれないけれど、何があるかわからないし...こっちが気付かないだけで、もしかしたら誰かに見られている場合もあるから、念には念をいれた方がいいかなと思って...」






「心配性だな、お前は」


ポンと軽く私の頭を叩く課長。




だって、そうでしょ?誰に見られるか分からないもの。見られたらあなたも困るでしょ?


それに、もし誰かに見られたら、あなたは綾さんの元へ帰れなくなるかもしれない。




そんなことになったら...何の意味もないの。





















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