青のキセキ
最後の蜜夜
長い長いキスの後。

離れた唇の間には銀の糸が伝っていた。



初めてじゃないのに、何だかとても恥ずかしくて顔が熱くなった。



課長の熱い眼差しを感じて、恥ずかしさが増す。


「お風呂...入れますね」



課長の顔を見れず、その場から逃げるようにバスルームへ行き、蛇口を捻る。



湯気が立ち込める浴室。



胸の動悸が激しくて、まだドキドキしてる。


今までに何度もキスをしてるし、それ以上のことだって数え切れないくらい......。


なのに、どうしてこんなに胸が苦しくなるのだろう。




きっと、これが最後だから。



私が課長を欲しくて仕方がないからだ。



それを素直に表せず、切なさと愛しさが混ざり合って胸が痛い。



課長をもっと近くに感じたい。


そんな自分が恥ずかしくてたまらない。










「お風呂、お湯入りましたよ」


バスルームから出て課長に声を掛ければ、


「一緒に入ろうか?」


なんて言うもんだから、顔に熱が籠るのを感じた。





その数分後、私たちは二人一緒に湯船に浸かっていた。


恥ずかしくて一緒に入るなんて無理だと思ったけれど、これが課長と過ごす最後の夜だと思ったら、一度くらいいいかな...と思った。


でも、やっぱり恥ずかしくて、電気は消してもらうことに。








課長に後ろからギュッと抱きしめられ、どんどん早くなる拍動。

どちらかが動く度に湯船から零れる水の音が私の心臓の音をかき消してくれる。



課長に顔を見られなくてよかった。



だって、湯船に浸かってそんなに時間が経ってないのに、すでに茹蛸のように真っ赤な顔をしているに違いないから...。



















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