恋の献血センター
「なな、何でよ」

「だってさ、逃げようとしないじゃん」

「逃げようにも、逃げられないじゃない」

「違うね~~」

 にやりと笑い、彼は鉄格子に顔を近づけた。
 ちょん、と格子を指す。

「ヒトはさ、頭が通ればその幅、抜けられるんだよ。あけびちゃん、出ようと思えば簡単に出られる」

 あ、と朱美は、目の前の鉄格子に頭を突っ込んだ。
 特に苦もなく、頭は格子の外へ。
 そのままするりと身体を起こせば、朱美は怪我することなく、格子の外へ立つことができた。

「ほらね」

 顔を上げれば、目の前には吸血鬼コスプレの彼が、にこりと笑っている。
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