恋の献血センター
 電光石火の勢いで、彼はぺこりと頭を下げた。
 ただ叩くだけよりも威力を発揮するだろうとは思ったが、まさかこれほどとは。

 というか、こいつにプライドはないのか。

「じゃああけびちゃん、血くれるんだね」

 ぱ、と明るく笑う。
 子供か、と思いつつ、朱美は辺りを見回した。

「私は献血に来たの。その分の血は覚悟してるけど、どうやって採るのよ。直で吸う気?」

「ん~、あけびちゃんさえ良ければ、それでもいいんだけど?」

 ぺろ、と下唇を舐めながら言う。
 言っている内容はお子様だが、その仕草だけ見れば、ぞくっとするような妖艶さだ。
 思わず朱美は、頬を赤らめた。

「でも献血ってことはぁ、400mlだよね~。直で吸ったら、そんなちゃんと量ってられないな~」

 一瞬彼に目を奪われていた朱美は、その彼が喋った途端、一気に現実に引き戻される。
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