シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「……芹霞、どうした? 心臓…苦しい?」
気づけば、皆の目があたしにあった。
どうやらあたしは、知らぬ間に心臓付近の服をぎゅっと握りしめていたらしかった。
心配げな鳶色の瞳。
「ううん? 心臓は大丈夫だよ。心臓は……。………。あれ? あたし、何で入院して心臓の手術したんだっけ?」
玲くんが担当医となって、池袋の病院で入院していたことは記憶ある。
だけど健康優良児だったあたしが、何で心臓手術?
「あれ? 別に玲くんみたいに発作起こした記憶ないんだけれど…。あれ?」
首を傾げるあたしの前で、皆が曇った顔を見合わせていた。
「ねえ…芹霞。2ヶ月前に東京で起きたことって、ちゃんと覚えてる?」
堅い表情で玲くんが訊いてくる。
「2ヶ月前って…あたしボケてないよ。藤姫でしょう? ああ、もしかして…大量ゾンビが関係あるの?」
食われそうになったとか?
襲われて心臓発作起こしたとか?
考えるだけでスプラッター。
しかし皆は肯定も否定もしない。
「多分…"あいつ"に関係あるからだね」
「………同時に、大切な人が"死ぬ"のを…弾いているのでしょう」
由香ちゃんと桜ちゃんが何かをぼそっと呟き、玲くんは悲壮感漂う顔を向けたまま。
あたしは場の空気を悪くしたことに気づいて、
「ああ、別にいいの、いいの!!! ごめんね、再会したばかりなのに変なこと聞いちゃって。
ええと…とにかく由香ちゃんと会えて良かった!!!」
無理矢理笑いを作って、明るく振る舞った。
「だけどあの情報屋サンがいてくれてよかったね!!! じゃなかったら由香ちゃんも紫堂本家まで来れなかっただろうし」
「ああ…まあ、多分は…情報屋以上の根回しがあったんだと思うよ? じゃないと、あんな変な場所で会うわけないもの」
「え? 会うって…?」
「………氷皇」
ぼそっと、由香ちゃんは言った。