シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「……。ねえ、何で僕宛? 由香ちゃんが貰ったものだろ!!? 由香ちゃんのお兄さんコトに関してだろ!!?」
玲くん…激昂…。
「でも転院情報かも知れないし…。師匠が宛名だし、ボク開け辛いから、師匠が開けてよ…」
「僕が!!? 僕、その青いの触れたくないんだけれど!!!」
玲くんはぶんぶんと頭を左右に振って拒絶姿勢。
「実はボクも…触れたくないんだ」
八の字眉の由香ちゃん。
「神崎…」
ぶんぶん。
あたしだってその青は嫌。
「葉山…」
ぶんぶん。
「「「「………」」」」
誰もが、その青に触れたら…胡散臭い笑いに取り憑かれることを知っている。
知っているから動かない。
動かないから進まない。
青い手紙とにらめっこの時間だけが過ぎていく。
「仕方ないね…。榊の情報があるかも知れないものね…」
玲くんが大きな溜息をつき、そして意を決したかのように、その封を開けようとした時、あたしはふと疑問を口にした。
「情報屋サンは、榊さんの場所…知らなかったの? 情報屋なのに?」
場は静かになった。
「"約束の地(カナン)"に居たから、転院を知らなかったとか?」
桜ちゃんがそう言うと、
「だけど氷皇が言っても全然驚いてなかったような。そういえば、元々の病院にも場所を教えてないのにスタスタ歩いていたし…」
「知っていたんだろうね、きっと。で、知ってたから先に言わなかったんだ」
玲くんは、再び大きな溜息をついた。
「知っているのが由香ちゃんに判られて詰問されたら…この手紙の存在理由がなくなるね。
この手紙が僕に渡らずに、由香ちゃんが途中、闇に破棄してしまう可能性も出て来る」
――あははははは~。
「……ちッッ!! 今度は由香ちゃんがメッセンジャーかよ」
何だか玲くんの方向から、玲くんらしからぬ舌打ちが聞こえてきたような。
「ん?」
聞き間違いみたいだ。
にっこりほっこりの玲くんは、清く正しく美しい人。
優雅で上品な玲くんスマイルは健在だ。