カプチーノ·カシス
帰りの新幹線の中で、膝掛けの毛布に隠してずっと手を握り合っているくらいに距離の縮まった課長とあたし。
もちろん、駅弁も仲良く平らげた。
東京で電車に乗り換えると、課長は急によそよそしくなったけれど、あたしは特にショックを受けることもなかった。
こっちではいつ知り合いに会ってもおかしくないんだから、当然だ。
元々こういうことは覚悟していたので、あたしも精一杯、ただの部下として振る舞った。
「こんな時間なのに家まで遅れなくて悪いんだけど……」
あたしも課長も家からの最寄り駅は同じ。その駅を出たところで、今日はお別れだ。
「平気です、残業の時だっていつもこれくらい暗い中歩いて帰ってますから」
「そう? じゃあ……また月曜日に」
「はい、お休みなさい」
あたしが微笑むと、課長は名残惜しそうな顔をしてあたしの腕を掴んで引き寄せた。